航空自衛隊の演習の実施に関する達
平成18年3月24日
航空自衛隊達第10号
航空幕僚長 空将 吉田 正
航空自衛隊の演習の実施に関する達(昭和43年航空自衛隊達第30号)の全部を改正する。
航空自衛隊の演習の実施に関する達
目次
第1章 総則(第1条−第4条)
第2章 演習の統裁(第5条−第9条)
第3章 演習の計画(第10条−第12条)
第4章 演習の実施(第13条−第19条)
第5章 雑則(第20条−第23条)
附則
第1章 総則
(趣旨)
第1条 この達は、航空自衛隊の部隊等における演習の実施に関し必要な事項を定めるものとする。
(定義)
第2条 この達において次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
(1) 演習 主として自衛隊法(昭和29年法律第165号)第6章に規定する自衛隊の行動時の事態を想定して行う部隊訓練をいう。
(2) 部隊等 編合部隊、編制部隊及び機関並びに航空幕僚監部をいう。
(3) 演習参加部隊等 演習の実施を命ずる部隊等の長の隷属又管理下の部隊等の全部又は一部で当該演習に参加するものをいう。
(4) 状況 演習を指導するために示す仮定の状態をいう。
(5) 演習開始 状況開始のできる態勢に移行することをいう。
(6) 状況開始 状況の付与又は現示により、演習の実演を開始することをいう。
(7) 状況中止 気象上、演習の指導上その他の理由により演習の実演を一時取りやめることをいう。
(8) 状況再興 状況中止により一時取りやめていた演習の実演を再び開始することをいう。
(9) 演習中止 実任務に即応させるため、演習を中途でやめ、じ後、当該演習を行わないことをいう。
(10) 状況終了 演習の実演を終了することをいう。
(11) 演習終了 演習開始前の態勢に復帰することをいう。
(演習の方式)
第3条 次の各号に掲げる演習は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
(1) 図上演習 状況を順次図上に示して、これに応ずる部隊等の指揮運用を演練する。
(2) 指揮所演習 司令部等(司令部及び司令部の置かれていない部隊等にあってはこれに準ずるものをいう。)に対して、主として指揮所活動及び幕僚勤務について演練する。
(3) 実動演習 部隊等の全部又は一部をもつて部隊行動を実地に演練する。
(統裁の方式)
第4条 演習の統裁の方式は、次に定めるところによる。
(1) 一方統裁 統裁官の企図するところに基づき、仮設敵(演習実施上、敵対行動をとる航空機、艦船、人員、車両等(模擬を含む。)をいう。)及び仮設彼我不明の目標(模擬を含む。)又は対抗部隊を計画的に運用し、所望の演習経過をとらせる統裁方式をいう。
(2) 自由統裁 部隊の対抗による演習において、部隊指揮官の意志を尊重し、最小限の統制により実施する統裁方式をいう。
第2節 演習の統裁
(統裁官)
第5条 統裁官は、演習の実施を命ずる部隊等の長又は当該部隊等の長が指定する者が任ずるものとする。
2 統裁官の職務は、次のとおり。
(1) 統裁部の部務を掌理する。
(2) 第10条に規定する演習実施計画に基づき、演習指導計画を作成する。
(3) 第16条第1号の演習文書規定に定める統裁官指示又は状況付与により演習参加部隊等に対する演習実施上の統制等を行う。
(4) 演習終了後、研究会の主宰及び演習の講評を行う。
(5) 災害、事故その他の緊急の事態の発生に伴い必要がある場合には、計画の変更、演習(状況)中止等に関し所要の措置をとる。
(副統裁官)
第6条 演習の実施を命ずる部隊等の長は、必要に応じて、副統裁官を指定し配置することができる。
2 副統裁官は、統裁官を補佐し、統裁官に事故があるとき又は統裁官が欠けたときは、その職務を行う。
(統裁部の設置及び所掌事務)
第7条 演習の実施を命ずる部隊等の長は、演習の実施に当たり、統裁部を設置するものとする。
2 統裁部においては、次に掲げる事務をつかさどる。
(1) 演習の全般統制に関すること。
(2) 状況付与及び進行に関すること。
(3) 審判に関すること。
(統裁部の構成)
第8条 統裁部は、統裁部長、補佐官、審判官及び補助者をもって構成する。ただし、演習の実施を命ずる部隊等の長は、当該演習の規模、内容等により、その一部を変更又は省略することができる。
2 統裁部長、補佐官、審判官及び補助者は、演習の実施を命ずる部隊等の長が所属隊員のうちから指定するものとする。ただし、当該部隊等の長は必要とする補佐官、審判官又は補助者が所属隊員から得られない場合には、他の部隊等の長にその差し出しを依頼することができる。
3 前項ただし書の依頼を受けた部隊等の長は、隊務の遂行に支障のない限り、適任と認める隊員を統裁部要員として差し出すものとする。
(統裁部長等の職務)
第9条 統裁部長は、統裁官の命を受け、統裁部の部無を整理し、演習統裁全般を補佐する。
2 補佐官は、統裁部長の監督指導を受け、演習の全般統制、状況付与及び進行に関する事務に従事する。
3 審判官は、統裁部長の監督指導を受け、演習部隊等の審判に関する事務に従事する。
4 補助者は、統裁部長の監督指導を受け、補佐官及び審判官を補佐する。
第3章 演習の計画
(演習実施計画)
第10条 部隊等の長は、当該部隊等の年度練成訓練計画に基づき演習実施計画を作成するものとする。
2 演習実施計画には、次の各号に掲げる事項を含めるものとする。
(1) 目的、方針及び指導要領
(2) 主要演練項目
(3) 期間
(4) 場所、区域等
(5) 統裁官
(6) 統裁の方式
(7) 演習参加部隊等
(8) 想定(演習のために示す仮定の情勢をいう。以下同じ。)(ただし、演習の規模、内容等により省略し、又は口頭により示すことができる。)
(9) 演習規定(演習に必要な規則、基準等をいう。以下同じ。)
(10) 実施要領
(11) 研究会及び講評の実施に関する事項
(12) その他必要な事項
3 演習は、努めて行動時の実際に近い状態を設想して行うものとする。ただし、諸種の制約のため実施することが適当でない行動又は作業は、仮想とすることができる。
(演習協力の依頼)
第11条 部隊等の長は、前条の演習実施計画の作成に当たり、当該演習の実施に関し必要があると認める場合には、当該部隊等の長の隷下又は管理下以外の部隊等の長に協力(第8条第2項ただし書に規定するものを除く。)を依頼することができる。
2 前項の協力を依頼された部隊等の長は、隊務の遂行に支障がない限り協力するものとする。
(演習指導計画)
第12条 演習指導計画には、次の各号に掲げる事項を含めるものとする。
(1) 指導方針
(2) 項目別指導要領
(3) 状況付与計画
(4) 審判実施要領(ただし、審判を行う場合に限る。)
(5) その他必要な事項
第4章 演習の実施
(演習の開始等)
第13条 演習は、統裁官の発する演習開始、演習中止及び演習終了並びに状況開始、状況中止、状況再興及び状況終了の指示により、それぞれ開始、中止、再興及び終了するものとする。
(演習の審判)
第14条 演習の審判は、統裁官又は審判官が行うものとする。
2 演習の審判を行うに当たり準拠すべき演習審判基準は、演習の実施を命ずる部隊等の長が定めるものとする。
(演習の評価)
第15条 演習の実施を命ずる部隊等の長は、当該演習に関する評価を行うものとする。この場合、当該演習の規模、内容等により必要があると認めるときには、評価部等を設置することができる。
2 演習の評価を行うに当たり準拠すべき評価基準及び実施要領は、演習の実施を命ずる部隊等の長が定めるものとする。
(演習規定)
第16条 演習規定は、次によるほか、演習の実施を命ずる部隊等の長が定めるものとする。
(1) 演習文書規定 別紙第1のとおり。
(2) 演習通信規定 別紙第2のとおり。
(3) 演習秘密保全規定 別紙第3のとおり。
(関係機関等との連絡調整)
第17条 演習の実施を命ずる部隊等の長は、演習の実施に当たってはあらかじめ関係ある部隊等、公共機関等に対し、所要の連絡調整を行うものとする。
(安全管理)
第18条 演習の実施を命ずる部隊等の長は、演習における事故等を防止するため、必要な禁止制限事項を定める等安全管理上の措置を講ずるものとする。
(報告)
第19条 演習実施計画及び演習実施結果の報告は、航空自衛隊の練成訓練に関する達(平成4年航空自衛隊達第11号)の定めるところによる。
第5章 雑則
(標識等)
第20条 演習において使用する標識及び信号(以下「標識等」という。)は、別表に定めるもののほか、必要に応じ演習の実施を命ずる部隊等の長又は統裁官が定めるものとする。
(演習の呼称)
第21条 演習の実施を命ずる部隊等の長は、必要に応じ当該演習の呼称を定めることができる。
2 演習の呼称は、当該演習にふさわしくかつ簡潔なものとし、演習に関する業務と演習以外の隊務運営に関する業務との区別を容易にする等のため使用するものとする。
(演習成果の整理)
第22条 演習の実施を命ずる部隊等の長は、当該演習の成果を整理集録するものとする。
(委任規定)
第23条 この達に定めるもののほか、この達の実施に関し必要な事項は、長官直轄部隊等の長が定めるものとする。
附 則
この達は、平成18年3月27日から施行する。
別紙第1(第16条関係)
演習文書規定
1 演習文書の種類
演習において作成する文書(以下「演習文書」という。)の種類は、防衛庁における文書の形式に関する訓令(昭和38年防衛庁訓令第38号)及び航空自衛隊文書管理規則(平成13年航空自衛隊達第14号)(以下「文書訓令等」という。)に規定するもののほか、統裁官が発する統裁官指示及び状況付与とする。
2 演習文書の書式
(1) 文書訓令等に規定する種類の演習文書の書式は文書訓令等に規定する書式によるものとし、文書番号は演習の略称又は演習の呼称を冠した一連の番号とし、一般の隊務運営のための文書番号と区別するものとする。
例 ○○○○総隊防第○号
(2) 統裁官指示及び状況付与の様式は、付紙様式に定めるとおり。
3 演習文書の処理
(1) 演習文書の処理は、統裁部及び各演習参加部隊等において処理するものとする。ただし、統裁官指示により示された場合に限り、演習に参加していない文書処理組織を利用し処理することができるものとする。
(2) 演習文書の処理のため用いる簿冊等は、一般の部隊運営のための文書の処理に用いる簿冊と区別し、演習成果の集録、演習終了後の破棄等の利便を図るものとする。
付紙様式
1 演習名は当該演習の略称又は呼称を記載する。
番号は、統裁官指示又は状況付与に区別した上、それぞれ統裁官の定める番号付与要領に従い番号を付する。
例 ○○○○統裁官指示(状況付与)第○号
2 発令年月日時刻は、○○.○○.○○.0000(I)(平成○○年○○月○○日○○時○○分)の例により数字のみで記載する。ただし、時刻については、特に示す必要がない場合には、省略することができる。
3 発令場所は、統裁官の所在する場所を記載するものとする。ただし、特に示す必要がない場合には、省略することができる。
4 発令者名は、統裁官の次に階級及び氏名を記載する。
5 あて先以下の記載は、次の要領による。
(1) あて先は、統裁官指示又は状況付与の受令者の職名を記載する。
(2) 配布区分は、当該指示又は状況付与に関係があって配布を要する者を記載する。
(3) 添付書類がない場合は、「添付書類」の文字を記載しない。
(4) 関連文書がない場合は、「関連文書」の文字を記載しない。
(5) 伝達方法は、書類配布、口頭、電話、手交、電送(ファクシミリ、電子メール)の別と伝達に当たった補佐官又は審判官の姓及び階級を書く。
(6) 伝達終了時刻は、伝達した者が伝達を完了した時刻を記入する。
(7) 分類番号は、航空自衛隊文書管理規則別表第1に定める行政文書分類基準表によりB−40−071(部隊訓練一般)を記入する。
(8) 保存期間は、航空自衛隊文書管理規則別表第5に定める航空自衛隊行政文書保存期間基準により、保存期間を記入する。
6 電報による場合にも番号の前には演習の略称又は呼称を冠するものとする。
例 ○○○○統裁官指示(状況付与)第○号電
別紙第2(第16条関係)
演習通信規定
1 統裁通信の発信権者及び通話権者
自衛隊の通信実施の基準に関する訓令(昭和39年防衛庁訓令第39号)第5条第1項第4号の規定に基づき、統裁に関する通信(以下「統裁通信」という。)の発信権者及び通話権者を次のとおり定める。
(1) 統裁官、副統裁官又は統裁部長
(2) 統裁官が指定する補佐官及び審判官
2 演習用通信の取扱い
演習用通信(統裁通信及び演習通信をいう。以下同じ。)を伝送する場合、実用通信と演習用通信との間及び演習用通信相互間の緩急区分の取扱いは、次のとおりとする。
(1) 特別至急の実用通信と特別至急以上の演習用通信間においては、実用通信を上位とする。
(2) 至急以下の同一緩急区分の実用通信と演習用通信間においては実用通信を上位とする。
(3) 同一緩急区分の統裁通信と演習通信間においては、統裁通信を上位とする。
3 演習用通信の事務電報
演習用通信(電報)に関する事務電報は、演習事務電報(エンムラ)とし、必要に応じた緩急区分を付するものとする。
別紙第3(第16条関係)
演習秘密保全規定
秘密保全に関する訓令(昭和33年防衛庁訓令第102号)及び秘密保全に関する達(昭和57年航空自衛隊達第1号)並びに防衛秘密の保護に関する訓令(平成14年防衛庁訓令第54号)及び防衛秘密の保護に関する達(平成14年航空自衛隊達第26号)に定めるもののほか、次のとおり実施するものとする。
1 管理者
統裁部にあっては統裁官又は統裁官の指定した者とし、演習参加部隊にあっては必要に応じ当該部隊等の長の指定した者とする。
2 保全責任者
管理者がそれぞれの所属人員から適任者を指定するものとする。
3 想定等の配布等
秘密区分の指定がない想定及び状況の内容は、用語及び表現に注意するとともに、配布等を必要最小限度とし、配布したものは用済後努めて回収、破棄するものとする。
4 秘密区分の指定
(1) 秘密区分の指定は演習内容を考慮し管理者が行うものとし、極秘以上の指定については統裁官又は演習参加部隊の長の確認を得るものとする。
(2) 秘密区分は、演習内容を考慮し指定する。ただし、現行計画等で極秘以上の区分による秘匿を要するものについては、現行規則どおりとする。
5 標記の表示
秘密の文書等には、秘密区分の標記のほかに右上部に赤色調の色で直径1.8センチメールのの特別表示をするものとする。ただし、やむを得ない場合又は不適当と認められる場合には、それぞれ適当な箇所、色調、大きさで表示することができる。
6 秘密区分指定の条件
統裁官の指示により統一することができるものとし、統一した場合には、表示を省略することができる。
7 秘密保全関係簿冊
統裁官が指示する場合を除き、秘密保全関係簿冊は一般の隊務運営のための簿冊と区別して備え付けるものとする。
8 点検結果の報告
演習参加部隊等の長は、演習終了後、速やかに演習関係秘密文書の異状の有無を点検し、結果を統裁官に報告するものとする。
9 演習成果等の集録
集録した演習成果等の保管については、現行規則により処理するものとする。
10 演習開始以前における演習秘密保全の措置
演習の実施を命ずる部隊等の長は、演習開始以前においても演習秘密保全の管理者等を指定し、所要の措置をとらせることができる。
別表(第20条関係)